HMBの効果を、実際の研究データを元に解説していきます。
しっかりとしたエビデンスレベルがある内容で、現状で信頼できるデータをリサーチ。HMBで筋トレすることを検討している方は必見です。
[st-kaiwa6]ライター:倉田 善和
男性向けコスメの企画、開発や男性向け美容アドバイザーとして6年、IT分野の記事執筆、監修も務める。ダイエット指導歴3年。[/st-kaiwa6]
1.HMBとは何か
簡単に解説すると、「ロイシンというアミノ酸の代謝物」のことでして、日本ではここ数年で登場しております。
アメリカだと1990年のころから少しずつ話題になってきており、筋トレ愛好家が妙にイチオシするようなサプリでした。
そのときには「高負荷の筋トレをしても、筋肉の分解を抑える」という感じで、分解を抑えることで筋肉を増やしやすくするという目的で愛用者が続出していたわけです。
2.HMBを筋トレ未経験者が摂った結果
筋トレ未経験者が行ったHMBの研究では、「筋肉が増えやすくなるかもしれない」という結果になっています。
HMBを3g飲んで筋トレしたら筋肉が2kg増えたデータ
2000年の論文にて、37人の筋トレ未経験者に対しての研究になります。(※関連)
参加者を以下の3グループに分けて実験を行ったようです。
- HMBを1日3g摂取して週3回筋トレ
- HMBを1日6g摂取して週3回筋トレ
- HMBを使わず週3回筋トレ
ストレートな実験です。要は「HMBを使った時と使わない時の差」と「HMBの量で効果が上下するのか」を調査しているわけです。
結果、以下のようになりました。
- HMBを1日3g摂取して週3回筋トレ
…筋肉が2kg増えた - HMBを1日6g摂取して週3回筋トレ
…筋肉が減った - HMBを使わず週3回筋トレ
…筋肉がわずかに増えた
非常に「???」という感じの結果ですね。
HMBを3g使ったら筋肉が著しく増えたのに、6gにしたらなぜか筋肉が減るという…。この謎は今も不明です。
考えられる説としては「摂りすぎて排出を促されて、成長ホルモンに弊害が出た?」ような感じですが、これもどうなんだろうと、筆者は首をかしげております。
他のHMB研究データ
ざっくりと箇条書きで紹介します。
- 2001年:1日にHMB3gとクレアチン10gを摂取、3週間筋トレして1.5kgの筋肉が増えたが、クレアチンのみのグループは900gしか筋肉が増えなかった(※関連)
- 2000年:68人の参加者にHMB3gとアルギニン14gとビタミンを摂取してもらい、経過観察。8週間で筋肉が平均で2.5kg増加、プラシーボ効果を与えたグループは筋肉が減少した(※関連)
という感じ。
いずれも筋トレ未経験の人に行わせているみたいですが、未経験だとかなり筋肉量が増えるという結果になっています。
クレアチンやアルギニンと組み合わせて行っているケースが多いですが、HMB単体でも効果が期待できそう。
3.アスリートがHMBを飲んだ結果【データ公開】
一方で、筋トレ歴が長い人やアスリートがHMBを飲んだらどうなるのかというデータもありましたので紹介します。
HMBの効果なし【実際のデータ】
このデータの結論は「効果なし」という感じでした。
2015年のレビュー論文になります。(※関連)過去の237件のHMB研究データから質が高い6件をメタ分析した内容。「筋トレが好きな人」と「アスリート」 がHMBサプリを飲んだら、「筋肉」と「体組織」に変化が出るのかを主に調査したのだとか。
まず、以下の定義を紹介します。
- 筋トレが好きな人
…最低1年以上筋トレを続け、定期的に今も行っている - アスリート
…プロ、または大学レベルでスポーツで活躍している
という感じですね。
このメタ分析で扱ったデータ内容に関してですが、HMBの用法は1日3g~6gが基準で、平均で4週間の観察研究が多くあり、トレーニング内容はスクワット、ベンチプレスといった定番メニューがほとんどだったようです。
そして、結果が以下の通り。
筋トレ歴が長い人、およびアスリートの場合、HMBを摂取しても筋力、体組織に関して何も変化なし。
ということで、信頼性が高いメタ分析では上記のような結果になったわけです。使うだけムダとも言われていまして、結構ボロクソでした。
4.ATPと組み合わせると筋トレ効果が良くなる!
ATPというのは、細胞が使うエネルギー源のことでして、HMB+ATPで筋トレの効果が劇的に飛躍するということが判明。
実際のデータ
2016年の論文になります。(※関連)
17人の若者を対象に、以下の2グループに分けました。
- 筋トレ前にHMB3gとATP400mgを摂取
- 筋トレ前に「プラシーボ効果」の偽サプリを摂取
という感じ。
食事内容は「炭水化物50%|タンパク質25%|脂肪25%」という比率に統一。実験期間は12週間行ったという内容です。ざっくりした内容ですが、意外と研究デザインが良いので、結果も信頼できそう。
ということで、結果が次のとおりになります。
- 筋肉
…HMB+ATPグループ:8.5kg増加
…プラシーボグループ:2.1kg増加 - 体脂肪
…HMB+ATPグループ:8.5%減少
…プラシーボグループ:2.4%減少
という結果に。かなりの差が付いていますよね。
しかもHMB+ATPグループの方が、ストレスホルモンが低く、筋肉へのダメージも少ないことが判明したわけです。
HMBとATPの組み合わせは、オーバートレーニングにならない
先程のデータで分かったことは、トレーニングのボリュームを増やしたいときにHMB+ATPの組み合わせでサプリを使えば、オーバートレーニングにならずに済むということですね。
冒頭の方のデータでは「アスリートはHMBの効果なし!」という感じでしたけども、ATPの組み合わせで劇的に変化したわけです。
ただ、なぜこうなったのかは「ATPが良い」のか「研究デザインの問題」なのかはわかりません。
まあ、とにかくHMBを飲むならATPを組み合わせたほうが良いってことですね。
5.補足:HMBの効果に副作用はあるのか
現状では「無し」と言えます。
ただ、繰り返し言いますがHMBサプリは「歴史が浅い」ので、半世紀くらい使ったらどうなるのかはまだわかりません。
実際の研究データでも、副作用は確認されてない
ここで言う副作用というのは、ちょっとした体調不良のことも指しています。
筆者が確認する限りでは、副作用の影響は確認されてませんでした。
6.おすすめのHMBサプリとATPサプリを紹介する
ATPサプリは種類が少ないので、その中で厳選するなら以下の製品がおすすめ。Amazonで販売されていない場合はiHerbでも検索すれば出てくるかと思います。
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HMBサプリのおすすめは「鍛神(きたしん)」で、理由はHMBの含有量が多いから。
HMBは含有量が命なので、ちゃんと「1粒の含有量」をチェックしてくださいな。
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補足:HMBサプリを選ぶ時の注意点
HMBサプリでありがちなのは、1袋あたりの含有量を記載しているというケース。
「30000mg入ってる!」←実は1袋あたりなので、だいたい01粒170mgしか入ってない…という感じですね。(1袋180粒の場合)
例えば、以下の製品がそうです。
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HMBは90000mg入ってますが、450粒での含有量なので、1粒あたり200mgという計算になります。かなり少ないです。
こうなるとコストだけが増えていき効率も良くないので、おすすめできません。
基本は1回分で2000mgが最低ライン。
6.まとめ
以上でHMBの効果について解説を終えます。
簡単にこの記事を振り返ってみましょう。
- HMBは筋トレ初心者が飲むと効果的と言える
- 筋トレ初心者はHMBとクレアチンを一緒に取ると、更に効果が増すかも。
- 筋トレ歴が1年以上の人が飲んでも、効果は全く得られない。アスリートも同様
- ただ、HMBとATPを組み合わせると、アスリートでも効果が増す可能性大
- 副作用の心配は現状なし、ただし長期継続でどうなるかは不明
ということで、HMBは筋トレ初心者が飲むなら良いですが、筆者のように筋トレを定期的に行うならHMB+ATPという組み合わせが良さそう。
ただ、ATPとなると値段が高いので、筆者はどうしようかなぁと迷っている次第です。